餅ドリーミン

夢日記です

友人の隠された姉の夢/犬の具合が悪い夢

(1)

 何人かで、クロマニヨンズのライブビデオを観ている。大きなトラックのようなセットの前で演奏している。昼間の野外のようだ。アンコールで、ヒロトマーシーがツインヴォーカルを取る曲が演奏される。マーシーのヴォーカル曲なんてすごく久しぶりだ。われわれは「うおっ」とどよめく。黒いダンススーツのような衣装も珍しい。二人が、おそらくアドリブで、ぴったり左右対称になるような姿勢を取る。われわれは感心して「本当に息が合ってるなあ、この二人は」と言い合う。

 

実家の片づけの手伝いに行く。引っ越しをするらしい(私は実家に住んでいるのかもう出ているのかよく分からない)。実家は昔の姿で薄暗く、一階の仏間の土間に面する側にピアノがある。ピアノの上の掃除を私は頼まれる。ピアノの上には埃が積もり何か物が置かれている。スツールに乗ってピアノの上を掃除していると、手伝いに来たのか別の用でやってきたのか、幼馴染である友人Aと友人Bも部屋にいる。友人Aはやはりスツールに乗っているのか私と同じ高さに立ち、ピアノの上を滑らせてそっと木片を手渡してくる。木片には、ささくれの凹凸の所為で読みづらいが、ボールペンで「タ--ケテ」とある。「助けて」というSOSだ、と理解する。

詳しい事情を聞きたいが、他の人には聞かせてはいけない話のようだ。周囲には私の家族と友人Bがいるので、私たちは小声でやりとりする。友人Aは、事情が書いてあるらしいノートを渡してくる。青と白に塗り分けられた表紙の、薄いA5のノート。開くと一見『カラマーゾフの兄弟』の読書会のノートのようであり、そこに書かれた文章を見て「Aってこんな言葉遣いをする人だっけ」と思う。ノートには、細かな字で、友人Aの家庭のこれまでの経緯が書かれている。それによると、実はAの家には、Aの上に、存在を隠されていた姉がいたという。姉は病気であるが、その姉の横暴に家族全員が服従させられ家庭は姉に支配されてめちゃめちゃになっているのだという。長い付き合いだがAが長女だと思っていたしそんな姉の存在は知らなかった。衝撃を受ける。ひどく怖ろしい思いになる。めちゃめちゃになったAの家の暗い空間が浮かび、木造の二階に巣を張る蜘蛛のような姉の姿が浮かび、その中にノートの文字が浮かんでいるように見える。ノートにはやや大きな字でマゾヒズムというよりニヒリズムと書かれている。今の状況を表す言葉らしい。支配に服従することをどこか愉しんでいるような段階ではもはやなく、諦めの段階であるという意味だろう。話を聴いている途中で、ノートを床に落としてしまう。ノートは開いた状態で落ち、ぎょっとして慌てて拾う。友人Bが近くにいたがすぐ拾ったので文字をきちんと読む時間はなかったとは思う。

 

私たちは引っ越しの荷物を運ぶ。運びながら友人Aと話すが、小声で詳しい話をするのは限界があり、周囲も不審そうな様子を見せ始める。離れの二階(祖父母の部屋だったが夢では祖父母はいない状態)の整理に行く。夫(親戚?)が奥の黒い卓袱台の前にいる。昼食ということでナポリタンスパゲティ(※父の好物)を出すが、ソースが真っ赤過ぎて、麺の一本一本が血にまみれているように見えて気持ちが悪い。友人Aを助けるために私はスケジュールを都合するが、その事情を夫には話せないため、夫は不信感を抱いた素振りを見せる。近くにいた父も、穏やかな様子ではあるが、疑われるのは当然のことだというような態度を見せる。私は「Aの家庭の事情のことなので詳しくは言えない」ということを説明しようかと悩むが、一階の押し入れの前で、隠し事をしている私の態度をめぐり夫と言い争いになる。私が何か曖昧なことを言ったのに対して、「だから嫌いやねん!」と言われてしまう。(ここで足が痺れて目が醒める)

 

(2)

「くまたん」みたいな名前の男の子のキャラがおり、ろくでもないやつだがモテるという設定。切り株のような舞台の上でくまたんが動いており、まめ子もそれに懐いている。まめ子と一緒にくまたんを観ていたはずが、いつの間にか、まめ子が(自分が?)くまたんということになっている。くまたんは、平たい頭から短いネギのようなものがたくさん生えているキャラ。

 

昔の実家の二階にいる、妹と両親もいる(家族は今の年齢の感じ)。部屋には蒲団が雑然と敷かれている。

下階で、まめ子の調子が悪いというようなことを妹たちが言っている。私はこの後の予定に気を取られていて、あまり気にしていない。何かを読まねばならない予定がある。妹が薬を買ったらしいので、それを飲めば治るのだろうと思っている。

妹とまめ子が二階に上がってくる。まめ子は何度か嘔吐している。いずれも蒲団ではないところで吐いてくれて助かったが、どうやらこれは本当に具合が悪いようだと思う。まめ子の背中をさすってやると、手触りがやや硬いようで違和感を覚える。今日は休日なので獣医さんは休みだ。妹は、誰か詳しい人に電話をして相談してみると言う。

しばらく皆で薬を与えたりさすってやったりしながらまめ子を介抱する。私が自分の蒲団に寝転がると、まめ子が覆いかぶさるように上に乗ってきた。普段そんなことは滅多にしないので、「来てくれた!」と嬉しい思いだったが、その状態でまめ子を撫でていると、段々まめ子の身体が板のように感じられ、それが不自然に反っている感じがする。見た目にはそんな変な感じはしないが、首が一方向に反っているようにも思われ、これは本当に危ない状態なのでないかと思う(※2013年の誕生日にまめ子が梗塞を起こしたときの記憶に似ている)。まめ子は私の上に俯せる状態で私の頭の横に頭部を垂れていたが、その姿勢のまま私の首の横に嘔吐した。蒲団が汚れ、髪も少し汚れたかもしれず、母が「あれあれ、おーおー」と言いながら雑巾を持ってくるが、私は笑って「大丈夫、大丈夫」とまめ子を撫でる。母と「今日獣医さんが開いてたらなあ」というようなことを言う。人間でも、たまたまその日病院が開いていなかったがために死ぬことになってしまった人はいるだろう。死という、一回きりの取り返しのつかないことが偶然性によって決まってしまう、お別れはいつも突然だ、と思う。

私の上にぺったりと俯せる硬いまめ子を撫でていると、犬の形でなく、8歳くらいの女の子の形になっている。すとんとした白い服を着て、まっすぐな髪を肩の下まで伸ばした女の子(人間ではなく人形のような造形だが人間と感じている)。それを見て、「まめ子は私の娘のようなものだったのか」と思う。「絶対に自分より先にいなくなってしまうと分かっている娘を育てたと思えば」と考える。そんな人は病棟にたくさんいた。犬でなく人間だっただけによりつらかっただろう。

いつの間にか、まめ子は押し入れの上段に登っている。薬の箱を自分で開けて飲んでいる。黄色い錠剤で糖錠らしい。しかし、妹の言うところによると、糖分は今の症状にはよくないと分かり、まめ子が薬をこぼした隙にこちらに転がってきた5、6粒を慌てて回収する。全部は回収できなかったができるだけでもと思う。昔は、こういうときはSさん(※昔実際に近所に住んでいて犬飼いの先輩であった夫妻)に相談していたなあ、と思う。母・妹と「Sさんが生きてはったらなあ」と言い合う(Sさん夫妻は比較的最近亡くなった。夢の中の舞台はSさんが生きていた頃の実家だが、Sさんたちはもういないことになっている)。そこへ、生協さんの配達がやってくる。袋から、頼んだものが続々出てくる。赤い中華風デザインの蓋の何かがあり、「こんなの頼んだなあ」と思っている。アルミ容器に入った蕎麦とうどんがひとつずつある。蕎麦は緑がかった細い麺である。蓋に大きな大葉が二枚も添えられているのが売りらしい。赤い蓋の何かを今日の昼食にしようと思っていたが、こちらを大葉が傷まないうちに早く食べたほうがよさそうだ。ペグレス(仮)に「今日一人でこれ食べてええ?」と何度も確認している。

 

感想:犬の病気の夢・犬の死の夢は悲しいが、目覚めて「犬の死はもう乗り越えたことだ」と思ってホッとするための夢という感じもする。